「先生、どうして大人って働くの?」
私が学習塾で講師をしていた8年前、
子どもから質問をされて、ドキッとしたことを覚えています。
みなさんだったら、どのように回答しますか?
「お金を稼ぐ必要があるから」
「大人になれば働くものだから」
「生きがいを見つけたいから」
十人十色と言いたいところですが、
同じような回答が集まるかもしれないですね。
当時は、5秒ほどたっぷり間をとった末に
「みんなが受験を通して成長することが、自分にとってのやりがいだから」
そんな回答をしましたが、これは個人の理由であって、
誰にでもあてはまる理由ではありません。
私たちはなぜ働くのか?
結論、働く(はたらく)とは【傍(はた)を楽(らく)にすること】だと考えます。
言葉あそびのようですが、的を射ているとも考えていて。
私たちは働いている誰かの協力なしには、スムーズに生きることはできません。
キレイゴトでまとめるのであれば、
「社会の一員になる」ということですし、
「人間が人間らしく幸せに生きるためには、支え合う必要があるから」です。
ただ、今回はそういった小綺麗な話は避けていきましょう。
みなさんは、今スマホやパソコンでこの記事を読んでくれています。
この考え方は、「そういや、これって当たり前じゃないよね」
ということを思い出すことから始まります。
私たちが住んでいる家も、家を照らす電気も、今日の晩ごはんも
空き時間に楽しむYouTubeも、メイク道具も、テレビゲームも、
誰もが働かない世界では、同じ生活をすることはできませんし、
この便利な日常を過ごすことは当然できません。
たとえば、私の大好きな家系豚骨ラーメン。
学生時代は1日に2回とか食べた家系ラーメンですが、
自前で作ろうと思ったら、大変な努力と時間が必要ですよね。
麺を作るために小麦を育て、
一緒にライスも食べたいから米も育て、
にんにくを育て、ほうれん草を育て、玉ねぎを育て、
半熟卵を食べたいがために野生の鶏?から卵を拝借し、
(鶏油と鶏ガラもいただきたいから鶏さん育てよう)
豚さんの骨をいただくために、野生の豚さんを狩りにいく。
味付けはもう分かんない。醤油と化学調味料とかですか。
しかも材料を集めて、一生懸命作ったところで、
ご飯が進むような美味しい家系ラーメンを作れる技術を
身につけるには時間がかかってしまう。
これら全ての苦労を、お金を払うことで、
時間を節約し、技術がなくともこの至福の時間を手に入れることができる
つまり【誰かの「働く」が、傍(=わたし)を楽にしてくれた】 ということです。
社会人になるまでは一方的にお金を払うことで、楽を買ってきましたね。
働くようになると、お金をもらって、誰かを楽にする
という視点の切り替えが生まれます。
もしも便利な生活から離れ、人と繋がらない生活をするのであれば、
働かなくてもいいかもしれません。
山間での自給自足ライフ、それも一つの幸せの形でしょう。
そうではなく、コミュニティの中で便利な生活をしていきたいのであれば、
誰かに楽にしてもらいたい”苦手” や ”苦手じゃないけど時間や手間がかかること”と、
誰かを楽にしてあげられる”得意”を交換して、日常生活を豊かにしていくのです。
正確には、得意と苦手の交換の間に「お金」を経由していますね。
こちらの記事では、働く(はたらく)とは【傍(はた)を楽(らく)にすること】と定義しました。
次の記事では、「お金と働くことの関係性」を見ていきましょう。