業界/職種研究

職業紹介:花火師

◆花火師ってどんな仕事?

花火を作る職人さんのことを花火師といいます!

花火師さんの仕事は、美しい大きな花火を作って打ちあげることです。

2023年の夏も100回以上の花火大会が開催されており、大きな会場では30,000発もの花火がわずか1〜2時間の間に夜空を彩ります。

花火師さんのお仕事は、大きく分けて4つの主な工程から成り立っています。

1. 花火を作る(製造作業):

花火の材料を使って火薬を作ります。これは火薬を扱う作業で、電気製品の使用が難しいため、ほとんどが手作業です。

酸化剤、炎色剤(色火剤)、助燃剤といった材料を計量し、ふるいなどを使って混ぜ合わせ、粉末の火薬を作ります。それに水を混ぜて練って固まるようにし、星(火薬のかたまり)や割火薬(玉皮をこわして星を飛び散らせるための)を和紙等を貼り合わせた玉皮(花火の外側)に入れていきます。

星や割火薬の組みあわせ、並べ方を変えることによって、空で開いたときの形や色、音は変化していき、花火の形や色、音を決めることができます。

2. 花火大会の準備作業:

花火大会のために、各種機材を現場に運び、設置します。花火や打揚筒(花火を打ち上げる筒)などを準備し、現場に設置作業を行います。

3. 花火を打ちあげる:

大会当日に、準備した花火を打ち揚げます。花火を打ち上げるための筒に玉をセットし、所定の時間差で点火します。複数の花火を連続して打ち上げる際には、速火線や導火線を使用して点火のタイミングを調整します。

4. 大会後の片付け作業:

花火大会が終わった後、玉殻や地上に落下した花火の残骸を回収します。この作業も大切で、きれいに片付けて環境を保護します。

花火師さんの仕事には、美しい花火を作るだけではなく、花火大会の演出やプログラム作りも含まれます。

どのように花火を打ち上げたら観客に感動が生まれるのか、どの花火を組み合わせるかを考え、大会の成功に向けてトコトン準備しています。

◆花火師になるには?

花火師さんになるためには、特に特別な学校に通う必要はなく、学歴自体は必要とされないことが多いです。

ただし、花火の仕事をするために、安全に関する保安講習会に出席して「煙火消費保安手帳」という特別な手帳を取得する必要があり、この手帳がないと花火の仕事はできません。

また、「火薬類取扱保安責任者」と「火薬類製造保安責任者」という特別な資格が必要です。これがないと花火の材料を保管したり製造したりすることはできないので、実際には花火を作る工場で働きながら、法律や知識を学び、この資格試験に挑戦する人もいます。

ちなみに花火の仕事をする会社は家族代々で続けていることが多く、縁故(つながり)で採用されることが多いそうです。

とはいえ、毎年の打ち上げ花火大会の最盛期には一時的に雇われて臨時作業員として繰り返し働くことで、能力を認められて正式に雇われることもあります。

花火の仕事は火薬を扱うので、非常に危険になります。だからこそ、責任感や注意力がとても重要です。さらに、花火大会の準備や後片付けなど、肉体的にも大変な作業がたくさんありますので、体力も必要ですが、きちんとした安全意識も大切です。

花火の仕事を始めると、最初は花火玉や打ち上げ筒(花火を上に飛ばすための筒)の運搬や固定など、補助的な作業から始めます。

玉貼り3年、星掛け5年とも言われるように、長い時間をかけてしっかりと経験を積んで、花火を作る技術、上げる技術を学びます。

花火の製作や打ち上げの作業をしっかり学び、上手にできるようになると、次第に責任のある仕事も任されるようになっていきます。

◆花火師の働き方の特徴

花火師さんの仕事をする場所は、主に煙火製造工場などです。

火薬を使う仕事なので、安全のために工場は市街地から離れた山間部などの場所が多いです。

お給料や働く時間などの条件は、働く場所のルールによって異なります。花火の製造工場では、朝から夕方まで働くことが一般的になりますが、花火大会で花火を打ち上げる作業は、土曜日や日曜日の夜に行われることが多いです。

そのため、作業が深夜までかかることもあります。その代わり、午後から出勤することや、平日に休みを取ることができることもあります。

花火の仕事は、一年中ではやはり夏が一番忙しい時期になります。

7月から8月にかけて花火大会がたくさんあり、その時には多くの一時的な作業員が雇われます。他の季節にも、秋祭りや運動会、スポーツ大会、テーマパークのイベントなどで花火を打ち上げる仕事が実は多くあり、夏だけでなく、他の季節でも花火の仕事が盛り上げてくれています。

◆働いている人の数(就業者数)

煙火消費保安手帳を持ち、花火職人として作っている方だと15,000人〜20,000人
花火に携わる方々だと、219,640人
(出典:令和2年国勢調査の結果を加工して作成)

◆月に働いている時間(労働時間)

160時間
(出典:令和4年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)

◆お給料(年収)

510.4万円
(出典:令和4年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)

◆年齢

41.2歳
(出典:令和4年賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成)

◆有効求人倍率

3.50倍
(令和4年度)